日本の瓦の歴史は、崇峻天皇元年(588年)に朝鮮半島から来た4名の瓦博士に

よって伝えられたとされている。その後仏教の興隆と共に寺院建築で大きく発展した。

我が国に伝来してからの瓦は、発祥の国中国や朝鮮と異なった気候風土に合せて

細やかな文様が生れ、雄大な木造建築物とよく調和させて千数百年を経て来た。

外来の文化を巧みに消化吸収する日本人特有の技術が、この土地の風土に合う

ように改良され、今日の瓦が生まれた。

我が国における元の変遷を表すと

第1期 飛鳥、白鳳、奈良時代は仏教伝来という背景のもとで、寺院建築が急速に
建設され、瓦の需要もそれにつれて伸び、200年足らずの間に日本の元として、立
派に技術も文様も完成した。この時代の瓦は、主として桶巻造り、4枚及3枚造りの瓦である。

第2期 奈良、平安、鎌倉、室町期で平安時代瓦の質が低下し、その使用量も減少
した。鎌倉時代には復古精神が盛り上り、建築様式そのものも実質的な強固なもの
になると共に、造瓦の技術も一段と進歩して、剛健な瓦として現在までその使命を
保持している。建築様式の変化と協調して造瓦技術も改善された時期である。

第3期 前期と様式は変化ないが、薄型造りである。桃山時代から江戸中期までこ
の時期の需要も戦乱の結果でもあったが、著しい伸びであった。建てては焼かれ全
般的に刹那的で繊細な状況であったから、造瓦技術も非常に落ち、小型化し薄くな
り、平瓦などは谷が一段と浅くなった。多くの需要と軽量化のため、この頃に桟瓦
が造られたが、これは突然出来たものでなく、幾多の変遷を経た上でこの瓦が造ら
れたので、使用が簡便な瓦として現在でもこの形は変っていない。

第4期 量産型で形式化された瓦。元禄の復古調気分にしたがった瓦で、とても鎌
倉、室町期のところまでは戻れなかったが、江戸期を通しての大きな節目で政策的
な面もあったのであろうが、多くの需要で造瓦技術にも進歩がみられた。

第5期 機械で土練し、成型するようになった瓦である。明治、大正朔で維新の結
果、需要と製造技術の発展は特に著しく、又、自由社会になり職人の移動等のため
大発展をした。質的にはあまり進歩がみられないが、感覚的な面で見せる瓦として
技巧的細工した瓦が一段と増えたのが目立つ時期で、磨きなどという瓦が出来た
のは、この頃からである。