一般消費者が健全な目的で住宅を計画して土地を探そうと目星をつけた土地には

「建築条件付(フリープラン)」の立札ないし看板が上がっていることが

多く土地のみを求めることが困難になっています。

個人が土地を買い、短期に転売する場合には短期譲渡所得税が発生しますが、

不動産業者が商売用にいくら買い占めても、これには当てはまりません。

昨日買った土地も自己所有地として建築条件を付けて販売できるため、

資本力をもつ不動産業者やハウスメーカーが買い占めてしまう恐れがあります。

事実都市部の住宅用の良好な土地の多くに建築条件がつけられ販売されています。

平成17年に「不動産の表示に関する公正競争規約」が変更され、

以下の三つの変更がなされました。

①土地売買契約後、建物の建築請負契約が成立するまでの期間3か月が任意になった。

②建物の建築を請け負うことができるものの制限が外された

(以前は建築を請け負うことができる者は、土地の売主(売主の出資子会社を含む)

またはその代理人に限られていた)

③建築請負契約が成立しなかった場合、停止条件のほか、解除条件を認める

(解除条件の場合、土地の売買契約はあったことになり、解約手数料の発生につながる)

注意点

①土地売主と建築業者との関係制限がなくなったため、当事者が任意に建築業者を指定し、

建築条件をつけることが可能になったが実際は土地購入者に事実上の選択権はなく、

リベートを軸として土地売主、建築業者、ハウスメーカーがつながる可能性が広がっただけである。

もちろんそのリべートは消費者の負担となり適正価格が歪められることになる。

②土地購入者が選んだ建築業者を土地売主が拒絶した場合、契約は成立しません。

そのため、選択肢は土地売主が提示した建築業者を選ぶか、土地とともに諦めるかの

二者択一となります。ただし建築条件を外すことが可能な場合もあります。

③土地売買契約と住宅建築工事請負契約を同時に求めたり、

または十分な検討期間を設けずに工事請負契約を性急にもとめることがあります。

そのような状況では、自由設計やフリープランは広告文句にすぎず、建売住宅の建築前取引に等しい。

④建築条件付の場合「土地の売買契約から一定の期間内に建物の建築請負契約を行う」という条件がありますが、

これが停止条件か解除条件かは確認が必要です。停止条件である場合は、建築工事請負契約が

成立するまでは土地売買契約の効力が発生せず、媒介業者(不動産業者)が

媒介手数料を請求することはできません。解除条件である場合は、建築工事請負契約が

成立する前でも媒介手数料を請求できます。建築工事請負契約が成立しなければ、

すでに払った媒介手数料は返金されますが、手数料を支払うタイミングが変わることに注意が必要です。

⑤建築業者が特定されることは仕方ないとして、建て方や仕様まで建売住宅と

同等のものである場合が多く見受けられます。一生に一回限りかもしれない家づくりに、

自由に施主の思うがままに建てさせてもらうには、設計は建築家などに依頼し、

きちんとした設計図書をもとに見積書を出させ、中身をよくチェックした上で契約するのがよいでしょう。

設計者を別に選定して、希望の家づくりをすると、業者側から「そんな家は建てられません」

といって手付金を返しに来ることになりますが、そんなときには手付金を

倍返しにしてもらってきっぱりあきらめるしかないでしょう。

⑥一方的な建築条件付販売には注意しましょう。特に停止条件や解除条件を明示せず、

土地と建物を同時に契約させようという場合が多くみられます。

さらに「土地と建物一括でないとローンがおりないから」などという口実で、

建物完成後「建売住宅」の契約書にすりかえるという手口があり、

土地と建物両方の仲介手数料を取っている例が多く見られます。購入者は素人で、

不動産業者に「いつもこのように契約を行います」と言われるままに騙されてしまう場合がおおいのです。

⑦建築条件付きは、工事請負契約が締結されなければ契約が成就しないので、

不動産業者にとっては大変リスクが大きいので、これを避けるため建売住宅なのに

「フリープラン」と偽り、土地売買契約を先に締結し、プランができた段階で

この契約をいったん破棄し、土地建物売買契約として契約を結びなおすという違法行為がまかりとおっています。

⑧メリットは住宅部分の建設費及び土地取得費が、住宅金融支援機構や金融機関の融資対象となります。

売主によっては、金融機関と提携し、融資を受けやすくしているケースもある。

また建売の施工前と割り切れば、建売ではできない施工状況の確認やチェックができます。

もちろん味方となる建築士など専門家に確認チェックをしてもらうことです。