自由設計とは法令と予算以外は一切制約を受けることなく、

建て主の希望通りに、あるいは建築家の提案どおりに家を設計することを言います。

しかし、実際の現場では「自由設計」という言葉は、もっと無造作に使われています。

以前、お客様からハウスメーカーの展示場に行ったときのこと

やり取りを聞きた時のことです。

お客様「この家は自由設計じゃないですよね?」

営業「いいえ、注文住宅ですから自由設計です。」

お客様「ということはどんな設計でも受けてもらえるんですか?」

営業「いいえ、制約がありますが、それ以外は自由設計です。」

お客様「ということは自由設計じゃないってことですよね?」

営業「いいえ、自由設計です。」

こうなると、もはや禅問答ですが、営業マンは、間取りは自由に設計出来ます、

という意味で使っていたのでしょう。

なるほど、その営業マンに限らず、大多数の日本人の想像力では

自由設計というのは大変分かりづらいように思います。

おそらく、建売などの間取りが固定された住宅に対して、要望ありきで設計する

注文住宅は、自由度が狭かろうと広かろうと、すべて自由設計の部類に

入ってしまうのではないでしょうか。

その一番の原因は、日本家屋といういわば古典的な規格住宅が大変すぐれているため、

何百年もの間、私たちは無意識のうちに「住宅の方に生活を合わせる」ということを、

ごく自然にやって来たからではないでしょうか。

ですから、今より少し広いリビングが欲しかった程度の要望がかなうだけで、

「自由設計」のありがたさが身にしみてしまうわけですが、

本当の自由設計というのは設計の出発点からして異なります。

つまり、我々日本人の頭の中にある標準的な住宅像を出発点として、

それを自分に合わせて微修正するのではなく、それぞれの家族が

最も暮らしやすいように、個々のライフスタイルから逆算して

ゼロベースから家の形を決めていくことが本当の自由設計の考え方です。

家というのは、その家族のライフスタイルというソフトを形にしたもの過ぎず、

主役はあくまでもその家族固有の生活である、ということが自由設計の

基本的な前提になるわけです。

具体的に言えば、

「ライトアップされた愛車を見ながらリビングでくつろぎたい」

「屋根の上をセカンドハウスにしたい」

「庭に植えた1本の桜を中心にした家にしたい」

などのはっきりとしたご要望はもちろんのこと、極端に言えばご主人が晩酌を

するか否か、奥様がいつどのようにお化粧をされるかなどで、

理論的には家の形が変わります。

建築家の家はおしゃれ、というイメージがありますが、昨今ハウスメーカーや

工務店でも住宅のデザインに力を入れており、特に外観などは建築家の家は

かえって野暮ったく見えることさえあります。

しかし、あくまでも施工が本業であるハウスメーカーや工務店と異なり、

後々の施工の都合に制約されずに、それぞれの家族のライフスタイルの

実現だけに集中できることが、本当の自由設計である

建築家の家の大きな利点の一つです。

個々のライフスタイルの実現をテーマとした住宅は、しっくりとそのご家族の肌になじみ、

これ以上暮らしやすく楽しいものはありません。建築家で家を建てると、

休日を家で過ごすことが多くなり、出不精になってしまった、という話をよく聞きます。

その一方で、世の中に一つだけのモノを作ると、十分な事前の検証が出来ないため、

コストが上がったり、施工が想像通りに行かなかったり、というジレンマがあります。

途中で予算が上がってしまった、完成したら予想しなかった不具合が出て修理費が

かかった、などは建築家の家によくあるトラブルです。

建築家を選ぶとき、建ててから数年経った家を見せてもらいましょう。

そうすれば、リスクが事前に分かります。契約前に絶対に確認して下さいね!!

しかし、ある程度のリスクを差し置いても、ご興味がある方は、

建築家の家をご検討されてみてはいかがでしょうか。