特に、木は吸湿・放湿性に富んだ材料で、湿度が高くなると湿気を吸収し、

湿度が低くなると湿気を放出して、周りの湿度が一定になるように自動調節する能力を

もっています。主な成分であるセルロースやヘミセルロースの中に、

水分子を引き寄せる部分(水酸基)があり、この部分に水がくっついたり

離れたりすることで、木材に調湿機能を有します。

つまり木材には、周りの温湿度に応じて、ある決まった量の水分を取り込む

性質があるのです。このため、木材を内装にたくさん使うと、

部屋の中の湿度の変動は少なくなり、快適に生活することができるのです。

近年は、特に地球の温暖化や都市化によるヒートアイランド現象、

住宅の過密化等によって暑さを増しており、県下でも夏季の遮熱対策は

大きな課題となっています。エアコンなどに頼る前に、

木をはじめとする自然素材のよさを今いちど見直してみてはいかがでしょうか。

素足でコンクリートやタイルの上に立つとヒンヤリとした冷たさを感じます。

これは体温が急速に奪われるためです。熱を伝えやすいコンクリートなどは、

室内の温度が低くなればなるほど、その温度もそれにともなって低くなります。

これに対して木材の熱伝導率は、石の約1/9、鉄の約1/500と断熱効果が格段に高く、

時間の経過にともなう温度の低下がゆるやかです。足の疲労を軽減し、

作業効率などを高めるためには、直接手足のふれる床に熱が伝わりにくい

木材が最も適しているといえるのです。木材が熱を伝えにくいのは、

コンクリートや鉄とは違ってその構造が、細胞の集合体であることによります。

例えばスギの木口断面1平方センチには、約4万から30万個もの細胞がつまっていて、

それらの細胞には、熱を伝えにくい空気が含まれているため、

断熱材に匹敵するほどの効果が期待できるのです。例えば、木造住宅は、

鉄筋にくらべて、一度暖炉等で暖めてしまえば、いつまでも暖かさが持続します。

また、調理用具の取っ手や柄は、鉄、ステンレス、アルミニウムなどの金属では

熱が伝わりやすいため、木が使われているのです。逆に寒い地方では、

外に面したガラス戸の枠やドアの取っ手などに木製のものを使い、

冷たさが伝わらないようにしています。

木材は衝突のショックを和らげます。

木材の床には、飛び跳ねたときに足が受ける衝撃を適度に和らげてくれます。

木材に物が衝突したときは、まず表面層の細胞がつぶれ、さらにつぎの層の細胞が

つぶれるというように、順次細胞がつぶれていくようになっています。

そしてその細胞は、パイプ状で柔軟に変形します。このように、

木材は衝撃力が加わったときに跳ね返るまでの時間が長くなるのです。

つまり、木材の細胞とその構造によって衝撃力が吸収されるわけです。

人が歩いていて無意識に衝突する速さは、毎秒1.5~3.0m。

また、転倒したときに衝突する速さは、毎秒4.0~6.0mといいます。

これは転倒の場合、小錦くらいのお相撲さんがのしかかったとの、

ほぼ同じ力を身体に受ける力に相当します。固い床材などでは、

その何倍かの衝撃力となるのはいうまでもありません。建物内の階段や床で転んだり、

壁などにぶっかって死亡する事故は予想以上に多く起きています。

屋内でも一歩誤れば、危険につながるといえるのです。

こうした危険を防ぐためには、床や階段の表面材料を滑りにくいものにすることも

大切ですが、床や階段、壁などを木材にしておけば、さらに安心です。

このような配慮は、住宅だけでなく、病院、老人施設、公共施設等においても

欠かせないものとなっています。

最近の住宅は、高断熱・高気密化、洋風化に伴い、様々な新建材の利用が進んでいます。

しかし、これらは、省エネルギーの観点、住まい手ニーズの変化、建築コスト削減などの

背景によるものです。しかし、新築住宅の入居時やリフォーム後に、

新建材等からの様々な化学物質により、頭痛や、目がチカチカして涙が出るなどの症状をひき起こす、

「シックハウス症候群」の問題がクローズアップされています。

特に、ホルムアルデヒドを多く含む接着剤が用いられている製品が問題です。

ホルムアルデヒドは、接着剤が乾く過程で室内中に放散され、それが一定量を上回ると

人体に悪影響を及ぼし、発ガン性のあることも指摘されています。

このような室内環境汚染の治療に向けた名医として木が注目されています。

更に近年では、木材の特性を活かした内装材や、化学物質の発生が極めて微量な

合板等木質材料も開発されています。このため、住む人自らがこれらに問題意識を持ち、

建て替えやリフォームの際には、健康に適切な材料として、

木材など自然素材製品を多用することが住環境改善の大きな原動力になると思われます。

森林浴をすると、森の緑が目に優しく、樹木のほのかな香りで、

気分を爽快にしてくれるでしょう。これは、森林から放散される成分

「フィトンチッド」が、気分が安らぐ状態をつくりだすためです。

フィトンチッドは、植物がたえず侵入しようとする微生物から身を守るために

作り上げたもので、抗菌性や消臭効果をもち、環境を浄化する働きがあるのです。

五感にかかわる自然由来の刺激が生態系に及ぼす影響を脳活動や自律神経活動

血圧、脈拍数等を指標として調べた調査によりますと、例えばスギ・ヒバ材の香りや

木目は、人をリラックスさせる効果があることがわかっています。

住宅などにつかわれる、切られた後の木にも様々な化合物が含まれ、

その木特有のにおいをつくり出しています。それらの化合物は、においだけでなく、

働きも異なります。木の香り成分は、いわゆる揮発性の成分ですが、

水とは異なり、長く木材中に保たれます。かすかににおう木の香りがストレスをやわらげ、

リラックスさせたり、疲労回復に効果があることが、血圧やストレスホルモンなどの

測定によっても明らかにされています。特に、木の香りは、ダニの繁殖を抑える働きもあります。

ヒノキ、ヒバ、スギ、などには繁殖を抑えるだけでなく、殺ダニ作用もあるのです。

さらにヒノキ、ヒバ材のにおい成分は、院内感染の原因となる病原菌や、

ダニやカビに対しても、強い繁殖抑制作用のあることが知られています。

現在のストレス社会において、生体をリラックスさせる木材本来の刺激を上手に

取り入れることで、生理的に気分を快適にするだけでなく、

清潔で快適な室内空間をつくるのにも役立っているのです。

また、子供たちの心がすさみ、学級荒廃が問題になってきている今、

校舎や体育館の木造化など施設面からも教育環境を見直すという動きが出てきています。

そして様々な実験の結果から、木は、子供たちの豊かな心を育成する温かみと、

潤いのある学習環境を整備する上で極めて効果的な材料であることが認められてきました。

木造校舎は授業に集中!!大学生を対象として「ねむけとだるさ」について

アンケート調査を行った結果、木材床は「眠気とだるさ」や「注意集中の困難さ」

を訴える率はコンクリート床に比べて、良い評価が認められています。

小学校の教員を対象に身体的・精神的な「蓄積的疲労徴候」の訴え率を調べた結果、

木造校舎の教員はいずれの項目においても、鉄筋コンクリート造の教員に比べ訴え率が

小さく、疲労が少ない結果となっています。

木は科学的に作られた物にはない魅力があります。