お正月の行事は、ほとんどが、日本に仏教が伝わる以前からある民間信仰で、

その後の神道や仏教の普及によって形を変えたり、あるいは統合されたりという

紆余曲折を繰り返して、今に伝わるものですし、地方によって、その伝わり方も

異なりますので、あくまで、諸説あるうちの一つという事をご理解下さい。

そもそも、初詣とは・・・

お正月に初めて神社仏閣へ参拝し、一年の無病息災・家内安全・平安無事などを祈る事で、

除夜の鐘を聞いてから参るのが一般的ですが、この社寺にお参りする初詣が、

いつ頃から庶民に定着したのかは定かではありません。

と言っても、東京なら明治神宮、大阪なら住吉大社、京都なら伏見稲荷や

石清水八幡宮や八坂神社・・・などなど、有名な社寺への初詣というのは、

少なくとも電車などの交通機関が発達してから・・・というより、

これは、完全に、近年の鉄道会社の宣伝のたまもの・・・

わざわざ電車に乗って、有名な場所へ出かける民族大移動で、鉄道会社は、

かなり儲かりますからねぇ・・・

だからと言って、有名社寺への初詣を否定しているわけではありませんよ。

お菓子メーカーの思う壷とわかっていても、バレンタインデーにチョコレートを

貰えばうれしいものですし、あげる側だってワクワクします。

それで、お互いの心にやさしい風が吹くのなら、思う壷にハマるのも悪くはありません。

何たって初詣は、おみくじを引いたり、中には振る舞い酒のサービスをしてくださると

ころもあり・・・と、それは楽しいものです。

そもそも、お正月の一連の行事は、年神様というお正月にやってくる

神様をお迎えするために行うもの・・・。

まだ、時計もなく、暦も定かでない時代は、一日の終わりは日没で、一年の終わりも、

その年の最後の日の日没・・・ここから、新しい年の神様を迎え、神様とともに

過ごすお正月が始まるわけです。

今では大晦日の夜にあたるその夜に、神棚に鏡餅を供え、お神酒、燈明をあげた後、

賑やかな膳を用意し、人はその前に座り、年神様を待ちます。

やがて、真夜中、神様が門松や幟(のぼり)をより所に降りてくると、お神酒・

お供物を下げてともに宴を催して、一晩中、家族で雑談を交わしながら過ごします。

この神様に供物を供えてから、その供物を家族そろっていただく事を

「トシをトル(トシトリ)」と呼びました。

やがて、夜が明けると、主人または長男が若水を汲み、奥さんがその水を、

昨夜から一晩中絶やさずにいた炉の火(万年火)で沸かし、皆でお茶(福茶)を

飲みながら、やはり神様にお供えしていた柿や栗・みかんなどを下げていただきます。

これが、今のところ一番、古い形であろうお正月の神様を迎える作法です。

また、地方によっては、「トシトリ」で、一晩中、自宅で徹夜する代わりに、

鎮守や氏神様に詣でて、社殿で一夜を過ごす「トシゴモリ」というのを行いました。

この「トシゴモリ」が初詣のルーツと思われます。

いずれにしても、「この夜は遅くまで起きていればいるほど長生きする」

という観念は共通のようですね。