天然乾燥人工乾燥も乾燥さえさせればどちらも同じだと思われている方々が実に多いようですが、

決定的に違点が2つあります。

一つは表面割れ等、天然乾燥では防ぐことができない損傷を抑制することができることです。

たとえば日本において、天然乾燥では髄(樹芯)を持った材料は

100%表面割れすると言われていますが、その割れを抑制することが可能です。

そして、もう一つが到達含水率です。天然乾燥での到達可能な含水率は平衡「へいこう」

含水率【伐り立て生材を屋外に長時間放置すると、大気中の温度と湿度に

応じて木材中の水分は次第に蒸発し、ついには大気と平衡状態になる。

このときの含水率をいい、日本における平衡含水率は約15%と言われている】

であり、到達後は気候など環境の変化に応じて吸湿脱湿を繰り返し、

平衡含水率以下にはなりません。一方、人工乾燥は熱エネルギーなどを加えることによって、

そこからさらに低含水率域まで到達させることができる上に、

任意の乾燥状態に調整することが可能です。

そこで、人工乾燥の意義をまとめてみると、

被乾燥材の材質や材種に合わせた適切な乾燥処理が可能である

目的とする(使用場所に適した)低含水率域まで短時間で仕上げることができる

人工乾燥材の平衡含水率は天然乾燥材の平衡含水率よりも常に2~3%低く保たれる

人工乾燥は被乾燥材の材質や断面の大きさ、

初期含水率あるいは乾燥履歴の有無などを考慮し、温度・湿度・風速などを調節し、

損傷を抑えながら、なるべく短時間で乾燥を終えられるようにすることで、

天然乾燥に比べて乾燥効率が極めて良く、しかも安定した乾燥材を作ることができます。

冷暖房の普及していなかった頃の隙間だらけの昔ながらの家なら天然乾燥材で十分でしたが、

今日のように気密性が高まり、しかも住環境が人工的に容易に調節できるようになると、

天然乾燥材の到達含水率である平衡含水率よりさらに乾燥が進み、

使用場所によっては10%を下回ることもあるため、

あらかじめ予想される含水率域まで乾燥させておく必要があります。

それができるのが人工乾燥だというわけです。

伐り立て生材と平衡含水率よりさらに低含水率域まで乾燥させた

人工乾燥材とを同じ場所に放置しておくと、天然乾燥材は徐々に乾燥し、

逆に人工乾燥材は徐々に吸湿し、やがては同じ平衡含水率に落ち着くと考えられがちですが、

実際には水分履歴現象【水分ヒステリシス:生材から乾燥する場合(放湿過程)と、

平衡含水率よりも低い含水率域まで一旦乾燥させたのちに吸着する場合(吸湿過程)とでは

到達含水率が異なり、人工乾燥材は通常の気候条件に戻しても、

天然乾燥材と同じ含水率にはならず、常に2~3%低い含水率に落ち着く】という木材特有の水分挙動を示し

両者が一致することはありません。これにより寸法安定性に優れた無垢材の供給が可能になるわけです。

木材乾燥とはそもそも寸法安定性の付与を目的としたものですから、

木材が水分ヒステリシスを持たなければ、人工乾燥の意義の一つは失われてしまうのです。