古民家と書いて皆さんはどんな家をイメージするでしょうか……

田園風景の中に建つ藁葺き屋根の家や、京都などの町家、

立派な瓦噴きの武家屋敷や庄家など、古い日本的な昔の佇まいを

残している民家が古民家ですが、建てられてから約50年経過すると

一応古民家と言う事になります。これは国の登録有形文化財制度というものがあり、

その認定の基準が築50年以上とされているので古民家という定義も

それに合わせてもらっています。つまり、遥か江戸時代から昭和の時代に

建てられた木造の住宅が古民家です。

そんな古民家でもとりわけ皆さんがイメージする江戸時代から

残っているような住宅の優れた点は夏が快適に過ごす為の

工夫がされた住宅という事です。

吉田兼好の徒然草に住まいについて書かれている所があります。

「家の作りようは夏をむねとすべし。冬はいかなる所にも住まる。

暑き比わろき住居は、耐え難き事なり」

今風にいえば住居は夏涼しく過ごせることが大切で、

冬寒いのは我慢しなさいという事でしょうか。

確かに日本の夏の暑さは赤道に近い東南アジアなどとほぼ同じで、

季節によってはむしろ東京の方が東南アジアより暑い場合もあります。

逆に冬の寒さは北欧並みなのです。

私たちの祖先はこんな過酷な土地で生きていくために様々な知恵を

住まいに活かしてきました。日本は南北に長い地形のためか地域ごとに

様々な住居の形を見ることができますがそのどれにも共通するのは、

エネルギーを出来るだけ使わずに材料を調達し冬の寒さと

夏の暑さに対応できる住宅をその土地に合わせて解決してきた事です。

古民家が持つエコな精神や省エネルギー技術や工夫が環境の世紀と言われる今、

再度見直されています。

古民家は夏を快適に過ごすために様々な工夫が施されています。

・わら葺きや土の上に瓦を敷いた断熱性のある屋根で夏の熱い日差しをさえぎって、

軒先の深い庇は太陽高度が高い夏場は室内に日差しが入るのを防ぎ、

逆に太陽高度が下がる冬は日差しを室内奥深くまで導き少しでも部屋を

暖かくしようと考えられています。

・わら葺きの屋根はしみ込んだ雨がゆっくりと蒸発する事で

気化熱で建物を冷やそうとしていますし、

・古民家の白い外壁は日射を反射し、土壁は断熱効果が高い素材です。

土壁は夜間に冷えて昼間の温度上昇を防ぎます。

・日本の夏は湿度が高く気温以上に不快な感じがあるので、

畳や土壁などの自然素材は吸放湿性に優れていて、

ほど良く調湿してくれることで今の住宅のような湿度を吸収しない

ビニールクロスなどよりも快適です。

・家の周りに植栽や池を配することで、周辺の空気を冷やして開放的な

間取りで室内に風を取り込んでくれます。

・夏には夏障子と呼ばれる通風性のある簾戸(すど)などに建具を入れ替えて、

風通しをさらに良くしてくれます。

簾戸(スド)とは、夏場の通風を目的に、ヨシや竹などを編んで

すだれ状にしたものを木枠の中に組み込んだ建具で夏障子と呼ばれます。

冬場使われていた障子やふすまと入れ替えて使用します。

古民家は電気などのエネルギーを使わずに夏の熱さを

和らげてくれるエコな住宅なのです。