部屋ごとの温度差が小さい高断熱高気密住宅は、快適なだけでなく体にも

負担をかけません。冬場、室温が高いリビングから寒いトイレに行った時などに、

急激な温度変化で心臓発作や脳卒中を引き起こす「ヒートショック」は有名ですが、

高断熱住宅ならその心配はありません。

また最近では、断熱性能が高い家に移り住んだ人ほど健康改善が見られるという

調査結果が日本やニュージーランドなど国内外で発表されており、

省エネはもちろんのこと、健康面も考えて高断熱高気密住宅の義務化が

イギリスや日本などの各国で進んでいます。ある大学の教授の調査では、

高断熱住宅への住み替えで「風邪を引きにくくなった」「手足の冷えがなくなった」

「肩こりや腰痛が軽くなった」などの声は多く聞かれ、断熱と健康には明確な相関性が

あると考えられています。

同じく教授の調査によれば、スウェーデンやカナダなど寒冷な国ほど死亡率の季節変化が小さく、

スペインやイタリアなど温暖な国で死亡率の季節変化が大きいことが明らかになっています。

家に潜む健康リスクを長年培ってきた経験値として蓄積している寒冷地と、リスクへの認識が低い温暖地での、

住まいづくりに対する文化の違いが現れた結果と言えるでしょう。

高断熱高気密住宅は、健康面でも大きなメリットをもたらしますが、

それは医療コストの削減という経済的なメリットにも直結しているのです。

高断熱高気密住宅では、通常の住宅よりも気密性が高く温度変化が少ないので、

室内の湿度をある程度のレベルに保ちやすくなります。

湿度は人の健康にはとても重要な要素です。室内での適正な湿度は40%以上と言われ、

乾燥が進んで湿度20~35%程度になると、風邪やインフルエンザなどウィルスが

空気中でしばらく生きながらえてしまいます。

逆に湿度が高すぎる住まいは、結露が発生し、カビやダニが繁殖して、その胞子や

死がい、糞が室内に放出されることに。カビやダニは、アトピー性皮膚炎や喘息などの

アレルギー症状を引き起こす原因にもなります。湿度を適切に保つことが、

家の中のきれいな空気を確保し、家族の健康を守ることにつながるのです。