フラット35をはじめ、民間の金融機関等が取り扱う住宅ローン商品は、

その大半が「融資実行時点」の金利が適用金利となります。

一部、  ローンの「申し込み時点」の金利を適用金利とするところや、

「申し込み時点」と「融資実行時点」のどちらかを

選択できるところもあるようですが、非常に少数派です。

したがって、一般的な住宅ローン商品の場合、ローンを申し込んだときの

金利水準よりも、融資実行時点の金利水準が上がっていると、

当初の計画よりも返済額が増えてしまう可能性があります。

逆に、申し込み時点よりも融資実行時点の金利水準が下がっていると、

当初の計画よりも返済額が少なくなる可能性があります。

短い場合で1、2ヵ月先、長い場合で1年以上先になる融資実行時点の金利水準を、

あらかじめ予想するのはほとんど不可能に近いですが、「金利がどうして動くのか」という

金利のさまざまな変動要因について理解しておくことは大切です。

現在の経済情勢や今後の見通しなどに基づいて、将来の金利動向について

さまざまなケースを想定できるようになっておくと、先行きの金利変動に

関する不安もある程度は取り除けるのではないでしょうか。

各要因ごとにそのような動きになる理由を簡単にまとめてみます。

国内景気

「景気がいい」とは働く人の収入が増えていくような状態をいいます。

自営業の人でいうなら、売り上げが増えて儲かっている状態。

事業が順調に儲かっていくと、将来のための設備投資を積極的に

行おうとする動きが強まり、少しくらい金利が高くても

お金を借りようとする人が増えます。お金の需要が高まることで

金利が上昇すると考えられます。「景気が悪い」場合はその逆になります。

国内物価

一般的に、物価(モノの値段)が上昇する局面とは、景気がいい状態で

モノを買う人が増えて、モノの値段が上昇していく状態です。

住宅価格で考えるなら、今年よりも来年、来年よりも再来年と

価格が上がっていきそうなときは、住宅ローンを組んででも

早く買おうとする人が増えます。お金の需要が高まって

金利が上がっていくと考えられます。また、物価の急上昇によって

紙幣の価値が減少することを嫌う日本銀行が、景気の過熱による

物価上昇を抑えるために、利上げを行うことで金利が上がるとも考えられます。

逆に、物価が下がるときには、お金を借りてまでモノを買おうとする

人が減るので、お金の需要が減退し、金利が下がると考えられます。

外国為替

円安になると輸入品が高くなったり、海外旅行の代金が高くなったりします。

つまり、円安による輸入物価などの上昇が、国内物価の上昇につながって、

金利が上昇すると考えることができます。円高の場合は逆で、

輸入品が安くなったり、海外旅行が安く行けたりします。

それが国内物価の低下につながって、金利が低下すると考えられます。

海外金利

例えば、アメリカの国債の利回りが上昇すると、日本の国債を売って

アメリカの国債を買う動きが強まります。つまり、日本の国債価格が下落し、

利回り(金利)が上昇すると考えられます。また、別の見方としては、

海外金利が上がると、金利の低い日本でお金を借りて、

海外で運用しようとする動きが強まります。

日本のお金を借りようとする人が増える分、日本の金利も上がっていくと考えられます。

海外金利が下がった場合は逆の動きになり、日本の金利も低下すると考えられます。

金融政策

「金融」とは、お金の貸し借りのことをいいます。

日本銀行が行う金融緩和策とは、お金の貸し借りを緩くすること。

つまり、金利を下げて、お金を借りやすい状態にすることを指します。

逆に、金融引締策は、金利を上げて、お金を借りにくくすることをいいます。

株価

株価が上昇していくときには、債券市場から株式市場にお金が流れていく傾向にあります。

債券が売られて、債券価格が下落(利回りは上昇)します。

また、一般に株価が上昇するときは、先行きの国内景気が好況になると

予想されている場合が多いので、国内景気の好況さを受けて金利が

上がっていくと考えることもできます。

では、これから日本の金利は上がっていくのでしょうか。

予想は非常に難しいですが、国内景気の好転と株価の持続的な上昇があれば、

高い確率で金利も上昇していくと考えることができるでしょう。

住宅ローンの相談は、住宅ローンに詳しいファイナンシャルプランナーや

工務店・設計事務所に相談しましょう。