一つめが、毎日の生活がきちんと進むように整えることを目的とした仕事です。

たとえば、食事の支度や片づけ、部屋の掃除、食べ物や日用品の買い物、

洗濯、アイロンかけ、裁縫(さいほう)、切れた電球の交換なども含まれます。

二つめは、人に関わる仕事で、子どもの世話や教育、病気の人の看病や介護、

家族それぞれに訪れる来客の受け答えやもてなしなどがあります。

三つめは、管理や計画の仕事で、家計簿をつけてお金を管理したり、

家族旅行の計画や住まいのリフォームの計画、生活に必要な情報を

ふるい分けたり、整理して生かしたりすることなどがあります。

このような家事は、家族の人数や年齢、介護を必要とする人がいるかなどによって、

その内容が大きく変わってきます。

また、家族の一人ひとりがどれだけ家事をする能力や時間があるのか、

住まいの場所が買い物に便利か、不便なところにあるのか、

大晦日やお正月、お節句などに家庭でどんな行事をするのかでも異なってきます。

しかしいずれにしても、家事は毎日の生活に欠かせない仕事です。

家族のみんなが関心をもって積極的に参加することが必要であり、

また、家事に参加しやすい住まいのあり方もとても大切になるのです。

毎日の生活の潤滑油(じゅんかつゆ)ともいえる家事。

昭和20年代までは、家電製品などはほとんどなく、

人の手作業で行っていました。たとえば、今はごはんを炊くには、

お米と水の分量を量って炊飯器に入れスイッチをポンッと押せば炊けますが、

炊飯器のなかった時代はかまどに薪(まき)を入れて火をおこし、

ごはんが炊けるまでの火加減の調節が欠かせませんでした。

しかし30年代以降、国の経済が豊かになるにつれて炊飯器や掃除機、

冷蔵庫などの家庭用電化製品が普及し、人の手で行う作業が簡単になり、

家事にかかる時間や労力が大きく減りました。同時に、住まいもまた、

今まで薪を置いてあった場所は必要なくなったり、洗濯機を置く専用の

場所ができたりと大きく変化したのです。

一方、住まいの中で行われていた家事のやり方が変わっただけでなく、

お店の惣菜やレトルトなどのような調理済み食品、使い捨てで洗濯の必要がない

紙おむつやハウスクリーニング(掃除屋さん)にみられるように、

家事そのものが商品として買えるようになりました。

このように近年は、家事を効率よく行うための機械化・商品化が進み、

これに伴って住まいも計画されつつあります。しかし反面、子どものしつけや

病人の介護などの人に関わる家事の分野では、機械を使ったりお金を

払って家族以外の人にやってもらうだけでは限界があり、

家族がどのようなかたちで関わって行ったら良いのか、

いろいろな意見が飛び交っています。

家事は単にやらなければならない仕事というだけではなく、

生活していくための技術や文化を伝えるという、大切な役目を担っています。

たとえば、子どもたちは親の暮らしかたを見て、食事のときの作法や食べ方、

季節の料理、近所のひととの付き合い方やしきたりなど身につくようになるでしょう。

また、それぞれが日中別々の場所で過ごすことが多い現代の家族において、

家事を協力して行う時間はコミュニケーションの機会として大事な意味ももちます。

こうして、みんなが協力して家事をしやすい住まいのあり方を

考えることがとても重要となって来ます。

一方、家事にかかる労力は機械化や商品化によって少なくなってきましたが、

その分、さまざまな選択肢が増えたことで、三つめの家事である管理や計画の

仕事はより複雑になってきています。まちで売られている家電製品、生活用品、

加工食品や様々な便利と言われるサービスのどれをどれだけ生活に取り入れるのか、

いろいろな面から考えて判断していくことが必要です。

たとえば、家計のバランスや今必要かどうかだけでなく、

心身の発達・健康面や家族関係への影響、さらには環境破壊との関連も

考えていく事がこれからは特に大切になってくるからです。

そしてその結果、どのようなモノ・サービスを家庭に取り入れるかによって、

住まいのあり方も変わってきます。

このように、目先の便利さだけでなく、一つ一つの家事の持つ意味を

さまざまな角度からみていくことが必要であり、その上で住まいのあり方を

考えていくことが今求められているのです。